海外赴任に配偶者を伴って行く場合、現地で妊娠、出産というシーンを迎えることもあるでしょう。
海外で出産をする場合、子どもの国籍について注意が必要です。
本記事では、子どもの国籍取得について説明します。
日本の戸籍法では、海外で日本人の出生、婚姻など身分関係に変動があった場合、例え当事者や届出人が海外にいても、日本の指定機関に届出をすることが義務付けられており、戸籍に記載される事になっています。
国籍の決まり方は国によって異なる
生地主義
両親の国籍に関係なく、生まれた国の国籍を取得できるとする考え方。
例えば日本人夫婦がアメリカで子どもを生む場合、その子どもにはアメリカ国籍が与えられます。
しかし、日本の国籍法に従うと、両親が日本人であるため、日本国籍も与えられて、その子どもは二重国籍となり、後に国籍の選択が必要になります。
生地主義の国:アメリカ、カナダ、ブラジルなど
血統主義
生まれた国に関係なく、父母から受け継いだ血縁関係により国籍を取得するという考え方です。
日本ではこの血統主義を採用しています。父または母が日本人であれば、生まれてくる子どもは日本国籍を取得します。
この血統主義には「父系優先血統主義」と「父母両系血統主義」があります。
父系優先血統主義とは
父親の血統を優先する考えで、父親の国籍のみをその子どもが受け継ぎます。
父系優先血統主義の採用国:インドネシア、スリランカ、イラク、イランなど
父母両系血統主義とは
父または母のいずれかがその国の国籍であれば、子どももその国籍を取得するという考えです。日本の国籍法もこれにあたります。
父母優先血統主義の採用国:日本、韓国、中国、タイ、フィリピン、インド、ドイツ、フランスなど
3か月以内に日本国籍を留保しなければ日本国籍を失うことに
海外で生まれた日本人の父または母を持つ子どもが、出生により外国の国籍を取得した場合、3か月以内に出生届とともに日本の国籍を留保する意思を表示(出生届の「日本国籍を留保する」欄に署名・押印する)しなければ、出生の日にさかのぼって、日本国籍を失うことになりますので、注意してください。
必要なもの
(1)出生届書(在外公館にて入手可能)
(2)外国官公署発行の出生登録証明書又は医師作成の出生証明書の原本
(3)同和訳文
あらかじめ届出先の在外公館に必要な証明書の名称及び部数等を確認しましょう。
申請期間
「生まれた日を含めて」3か月以内
(前述の通り、出生により外国の国籍を取得している場合は、この届出期限を過ぎると日本国籍を失うので、出生届は受理されなくなります)
申請窓口
在外公館の窓口
(在外公館又は本籍地市区町村へ郵送する事も可能)
届出人
原則として父または母(外国人でもO K)
届出方法
在外公館の窓口で直接提出する
(在外公館又は本籍地市区町村へ郵送する事も可能)
※戸籍関係及び国籍関係の届出は、在外公館または本籍地の市区町村役場にて行う必要があります。
ただし、各届に求められる証明書類の様式はそれぞれの国によって異なり、この記事ではそれらすべてを網羅する事はできないので、詳細については最寄りの在外公館に問い合わせをしてください。
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