海外赴任が決まった場合、出国前に日本で行うべき公的機関での手続きは多岐にわ
たります。これらの手続きを定められた期限内に適切に行わないと、ペナルティが発
生したり、海外滞在中や帰国後にトラブルが発生する可能性があります。以下に主な
手続きとその詳細を説明します。
1. 住民票の異動
海外赴任などによって日本国外に1年以上滞在する場合は、原則、お住まいの市町村に「国外転出届」を提出し、住民票を「海外転出」として処理しなければなりません。申請は出発の2週間前から申請が可能です。記入した転出日以降は住民票や印鑑証明を取得できなくなるので、それらの書類を必要とする手続きは事前に済ませておくようにしましょう。
- 手続き場所: 市区町村役場
- 必要書類: 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)、印鑑(必要な場合)
- 手続き内容:
- 管轄の役場に海外転出届を提出
- 転出先として海外の住所を記入
POINT 転出届を提出すると、住民票が除票扱いとなり、国民健康保険や住民税の支払い義務が停止される
2. パスポートの確認と更新
パスポートの有効期限を確認し、赴任期間中に有効期限が切れる場合は事前に更新が必要です。中国などではビザの申請の際に、有効期限が6か月以上であることが求められるため、滞在先のビザ取得条件などと合わせて確認しましょう。
- 手続き場所: 各都道府県のパスポートセンター
- 必要書類:
- 指定の申請書
- 戸籍抄本または謄本(発行後6か月以内)
- 本人確認書類
- 写真(規定サイズ)
- パスポートの更新料
POINT 更新には数日から1週間程度かかるため、余裕をもって手続きを行いましょう。
3. 国民健康保険の手続き
海外転出届を提出すると、国民健康保険の資格を喪失します。ただし、場合によっては継続加入が可能です。
- 手続き場所: 市区町村役場
- 手続き内容:
- 申請書に記入し、保険証を返却する
POINT 海外赴任中の医療保険については、勤務先の海外保険や民間保険を検討すること
4. 年金の手続き
国民年金の加入者は、海外赴任中も任意で加入を継続することが可能です。また、国民年金への新規・再加入は、各市町村の役場だけでなく、赴任先の在外公館(大使館など)でも行えます。
- 手続き場所: 市区町村役場または年金事務所
- 必要書類: 申請書、本人確認書類、基礎年金番号通知書または年金手帳
POINT 任意加入を希望する場合、届け出が必要。加入を継続すると、将来の加入年数への不安が解消されるので検討を。
5. 税金関連の手続き
日本を離れる際は、住民税や所得税の処理について確認しましょう。海外赴任で得た給与所得に日本の所得税は課せられませんが、日本の不動産を貸し出して家賃収入を得ている場合などは、管轄の税務署に納税をする義務があります。
- 住民税:
- 転出届を提出した場合、住民税の課税対象から除外されます。ただし、前年分や当年分の支払い義務が残ることがあります。
- 所得税:
- 確定申告が必要な場合、出国前に処理を行います。
- 税務署に連絡し、税務代理人を選任する手続きが求められることがあります。
6. マイナンバー関連
マイナンバーは海外赴任中も有効ですが、通知カードやマイナンバーカードを適切に保管する必要があります。
POINT 帰国後に再度利用するため、紛失しないよう保管してください。
7. 在外選挙人登録
海外に居住している人が日本の選挙に投票するためには、在外選挙人名簿への登録が必要です。
- 手続き場所: 市区町村役場
- 必要書類:
- 本人確認書類
- 住民票の除票証明書
POINT 登録完了まで数週間かかることがあるため、早めに手続きを行いましょう。
8. 運転免許証の更新
帰国後に有効期限が切れないよう、必要に応じて更新を行いましょう。
→詳細は●P
まとめ
海外赴任前には、多くの公的手続きが必要ですが、これらを適切に行うことで、海外生活をスムーズに始められます。特に、住民票の異動や保険、税金関連の手続きは重要な手続きであるため、余裕を持って準備を進めることをおすすめします。
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