昔は「海外赴任を五年すると家が建つ」とよく言われていましたが、円安が問題になっている現在においても、現地給与が外貨で支払われ、手厚い手当が設けられている海外赴任では、お金が貯めやすいようです。
本記事では、海外赴任者の給与がどのように決められるのか、オーソドックスな3つの給与計算方式を解説していきます。
購買力補償方式
多くの日系企業で採用されている、海外赴任者の給与計算方式です。
これは、日本での手取り額を基準に、海外で同水準の生活が送れる程度の賃金を支給する計算方法です。
例えば、日本から中国・上海へ赴任したとします。為替レートが1元=20円で日本での手取り額が40万円だった場合、中国でも同額の2万元を支給するのではなく、上海の物価を考慮した上で、日本で送る生活水準を上海でも再現できるよう給与に調整するということになります。
これは、赴任者が海外においても金銭面で不利益を被らないよう、国内で働いていた時と同等、またはそれ以上の待遇を与えようとする考え方をベースとして作られた給与体系です。
つまり、国内での購買力を海外赴任地においても保証する制度であり、国内での給与に「生計費指数」と「為替レート」を掛け合わせて算出します。
実際の給与支給は生計費を現地通貨で支給し、残りは日本円で支給するという方法が一般的です。
別建方式
2つ目は、海外赴任者の給与を海外法人の「給与体系」に従って支払う方法です。
別建方式では赴任者の日本国内での給与との整合性をとることが難しく、採用する日系企業は少ないようです。
なお、海外基本給は大幅に円高や円安になった際に、設定金額を見直す必要があります。
併用方式
3つ目の「併用方式」とは「購買力補償方式」と「別建て方式」を組み合わせたものです。中小企業で採用される場合が多く、「別建て方式(現地給与体系)」での支払いを購買力補償方式で金銭的に補填する形になります。
給与のことは、会社に対してなかなか要求を伝えづらいという赴任者もいますが、日本の人事部では赴任先の現地の経済事情をきちんと把握していない場合もあり、赴任者本人が不満を抱えて勤務しないためにも、希望があれば積極的に伝えていくようにしましょう。
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