海外赴任に家族は帯同すべき?

日本での準備

海外赴任者に家族がいる場合、家族を海外に帯同するか否か、決断する必要があります。

家族を帯同することには、家族の絆が深まるといったメリットがありますが、同時にデメリットもあります。

今回は、海外赴任時の家族帯同のメリットとデメリットについて解説します。

「家族帯同」と「単身赴任」

まず、「家族帯同」とは、海外赴任者の家族(妻や子ども))が一緒に現地へ移住することを指します。

家族帯同をしない場合は、海外赴任者が単身赴任することになります。

家族を帯同するか否かは家族で話し合って決める

以前は家族帯同を原則とする企業も多かったですが、今は家族帯同するか否かは赴任者とその家族が決定すべきこととして認識されています。

もし、「この海外事業所では前任者が単身赴任だったから、あなたも…」といったような話が会社からあれば、それは個人の権利を侵害するおそれがありますので、抗議をしても構いません。

いずれにせよ、家族を連れて行くかどうかは、赴任者本人で判断するということを念頭において、家族の状況や気持ちに配慮して決定していきます。

家族帯同を希望する人の方が多い

では、家族帯同と単身赴任、どちらを選択すべきなのでしょうか。

少し古いデータにはなりますが、労働政策研究・研修機構(JILPT)が2004年に日系企業の海外赴任者向けに実施した調査では、「(赴任前に)家族帯同を希望していた」という配偶者は全体の55.5%と半数以上を占めます。

また、「希望していなかった」が15.1%、「どちらともいえない」が24.9%となっており、家族帯同を希望する人のほうが希望しない人より多い傾向が伺えます。

次に、家族帯同のメリットとデメリットについて見ていきましょう。

家族帯同のメリットとは?

赴任者が家族を帯同する最大のメリットは、家族で協力して一緒に暮らせることでしょう。

子どもがいる家庭の場合、赴任期間が3〜5年となると、「帰国したら、随分と子どもが大きくなったと感じた」という赴任者が多く見られます。

子どもの成長を近くで見守れる、日々の出来事を家族で共有できるというのは、かけがえのない体験になります。

さらに赴任者の立場で見れば、掃除や食事といった家事を分担できたり、病気になったときに看病してもらえたりするほか、悩みごとなど、相談できる家族が身近にいることは、精神的な安定にもつながります。

他にも、赴任者配偶者ともにそばにいることで、何かと誘惑が多い海外で、不貞の防止になるといったメリットもあります。

また、子どもの教育の面でみれば、外国語の習得ができたり、異文化に触れてグローバルな感覚が身に付くといったことが挙げられます。

家族帯同のデメリット

家族帯同のデメリット(懸念すべき点)としては、家族不和に繋がる可能性があるということが挙げられます。

家族が海外生活に馴染めなかったり、大きなストレスを感じた際に、家族で一丸となって乗り越えられず、お互いに原因を擦りつけたり、余計に疲弊してしまうという可能性があります。

また、配偶者が仕事をしている場合、多くは日本の職場での退職を考えることになります。

共働きの場合は、配偶者のキャリアプランにも大きな影響を及ぼすということを忘れないようにしてください。

さらに、子どもが就学している場合は、日本の学校を転校する必要があります。気の置けない友人との別れ、海外での入学は大きな環境の変化となるため、子どもの性格によっては大きなストレスになる可能性があります。

まとめ

家族帯同の是非は、各家庭の状況や赴任者とその家族の性格によっても結果が異なってくるため、一概にどちらが良いとはいえません。

何よりも大切なのは、赴任者本人と家族でじっくり話し合って決めることです。

上述した家族帯同のメリットとデメリットなどを加味し、全員が納得のいく決断をするようにしてください。

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